対戦ゲームでよくラグくなるんだよね。ゲーミング回線に乗り換えたほうがいいのかなと思っているんだよね。でも工事も費用もかかるし、そこまでする価値があるのか分からなくて…。
悩む人
先に結論をお伝えします。
回線を乗り換える前に確かめてほしい項目は、全部で4つです。そしてもう1つ、意外に知られていないことがあります。
メーカーは「ゲームに何Mbps必要か」を公表していません。任天堂のサポートに、数値の記載はありませんでした。
Apex Legendsの公式動作環境も、最小・推奨そろって「Broadband Internet connection」とだけ書かれています。
つまり速度の数字を追いかけても、比べる基準がそもそもありません。
見るべきなのはPing(応答の速さ)と、その安定です。
POINT この記事でわかること
ゲーミング回線で本当に見るべき指標が分かり、乗り換える前に自分で直せる4つを差が出る順に試せます。あわせてLANケーブルとルーターの選ぶ基準、それでも直らないときに回線を疑う条件まで押さえられます。
NOTE 本記事の情報について
本記事の通信速度に関する記述は、任天堂サポートをもとに構成しています。あわせてElectronic Artsが公開しているApex Legendsの動作環境も確認しました。回線の速度は住んでいる建物や時間帯で大きく変わるので、数値は目安として読んでください。
工事の前にできることが、まだ残っています。上から順に見ていきましょう。
RYOTA
【結論】ゲーミング回線で先に試す4つ
乗り換える前に、有線・ケーブル・置き場所・同時接続の4つを試してください。
差が出る順に並べています。
| # | 試すこと | かかる費用 | かかる時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 有線でつなぐ | 0円〜千円台 | 10分 |
| 2 | LANケーブルの規格を確かめる | 0円〜千円台 | 5分 |
| 3 | ルーターの置き場所を変える | 0円 | 5分 |
| 4 | 同時につないでいる機器を減らす | 0円 | 5分 |
4つとも試して変わらなければ、そこで初めて回線そのものを疑います。
順番を飛ばすと、原因が分からないまま工事の話に進むことになります。
上の3つは、その日のうちに終わります。
RYOTA
ゲーミング回線に必要な速度は公表されていない
メーカーは「ゲームに何Mbps必要か」を数値で公表していません。
「オンラインゲームには○○Mbps必要」という数字は、どこかで目にしますよね。
ところがその数字の出どころを探すと、公式にはたどり着きません。
任天堂もゲーム会社も数値を出していない
実際に公式の情報を当たってみました。
POINT 公式が書いていること
- 任天堂:インターネット接続のサポートページに、必要な通信速度の数値は書かれていません
- Apex Legends:Steamの公式動作環境は最小・推奨ともに「Broadband Internet connection」だけです
推奨環境にまで数値が無いというのは、速度が足りているかどうかは論点ではない、という意味です。
対戦ゲームが送っているデータは小さい
理由は、やり取りしている中身にあります。
対戦ゲームが送るのは、キャラクターの座標や入力といったごく小さなデータです。
映像そのものを送っているわけではないので、動画を見るときのような帯域は要りません。
むしろ小さなデータを途切れずに、速く往復させられるかが勝負になります。
だから速度の数字を上げても、体感が変わらないことが起こります。
では、代わりに何を見ればいいのでしょうか?
ゲーミング回線で見るべきはPingという数字
見るべき数字はPingで、速度ではありません。
どれだけ速い回線でも、Pingが大きければ操作は遅れて届きます。
速度とPingは測っているものが違う
同じ「回線の性能」でも、この2つは別のものを指しています。
| 指標 | 何を表すか | たとえると |
|---|---|---|
| 速度(Mbps) | 1秒間にどれだけ運べるか | 道路の幅 |
| Ping(ms) | データが往復するのにかかる時間 | 道路の長さ |
道路をいくら広げても、遠回りしていれば到着は遅くなります。
対戦ゲームで差が出るのは、この「長さ」のほうです。速度が1Gbpsあっても、Pingが100msあれば操作は遅れて感じられます。
Pingは小さいほど良い
単位はミリ秒(ms)で、数字が小さいほど速く返ってきます。
POINT Pingの読み方
- 15ms以下:対戦ゲームでも遅れを感じにくい水準です
- 15〜30ms:多くの人が問題なく遊べる範囲になります
- 30〜50ms:シビアな撃ち合いで差を感じ始めます
- 50ms以上:ここまで来ると改善したほうが楽しめます
数字は、上を目指すほど良いものではありません。
50msを15msにする価値は大きく、15msを10msにする価値は小さくなります。平均より「揺れ」のほうが問題になる
もう1つ、見落としやすい点があります。
Pingは常に一定ではなく、時間とともに揺れるものです。
この揺れが大きいと、平均が良くてもラグとして体感されます。平均20msでも、ときどき200msに跳ねる回線は快適に遊べません。
あとで出てくる有線化と機器の整理は、この揺れを抑えるための対策です。
自分のPCが何fps出ているかとあわせて確かめたい人は、PCのfps(フレームレート)を確認する方法もご覧ください。
ゲーミング回線の速度とPingを実際に測る
ここまで読んだら、自分の数字を出しておきましょう。
測っていない状態で対策を打つと、変わったかどうかが分かりません。
速度は測定サイトで分かる
まずは手軽なほうから始めてください。
ブラウザで測定サイトを開いて、ボタンを押すだけで済みます。
ただし出てくるのは速度が中心で、Pingは小さく添えられている場合がほとんどです。見るべき数字はそのPingなので、見落とさないでください。
Pingはコマンドで正確に測れる
もう一歩踏み込みたい人向けの方法です。
Windowsなら追加のソフトを入れずに測れます。
POINT PingをWindowsで測る手順
- 検索欄に「cmd」と入力して、コマンドプロンプトを開く
- ping -n 20 8.8.8.8 と入力してEnterを押す
- 20回ぶんの結果が出るので、最後の「最小 / 最大 / 平均」の行を見る
- 最大と最小の差が大きいほど、揺れが大きい回線です
平均だけでなく、最大値も一緒に見てください。
平均が20msでも、最大が300msに跳ねているなら、その瞬間にラグが起きています。
ゲーム内の表示がいちばん近い
もっとも実態に近いのは、遊んでいるゲームの画面です。
多くの対戦ゲームには、Pingやパケットロスを画面に出す設定があります。
測定サイトが測っているのは測定サーバーまでの数字なので、ゲームサーバーまでとは別物です。対策の前後で同じゲームの同じ画面を見比べれば、効果がはっきり分かります。
ゲーミング回線を乗り換える前に直せる4つ
効果が大きい順に、有線化・ケーブル・置き場所・同時接続の4つを試します。
1. 有線でつなぐ
いちばん差が出る対策です。
無線は電波の通り道にある物や、近所の電波の影響を受けます。
その影響が、そのままPingの揺れの正体です。ゲーミングPCにはLANポートが付いているので、ルーターまでケーブルを引ければ済みます。
追加の出費は、ケーブル代だけです。
CAUTION ✕ 悪い例 → ○ 良い例
✕ 悪い例:ラグが気になったので、いきなり回線の乗り換えを申し込みました。工事を待って開通したものの、無線でつないだままなので体感は変わっていません。
○ 良い例:まずルーターからLANケーブルを引いて有線にしました。それだけでPingの跳ねが減り、乗り換えの必要がなくなっています。
2. LANケーブルの規格を確かめる
古いケーブルを流用していると、そこで速度が頭打ちになります。
ケーブルの側面に「CAT5e」「CAT6」といった印字があるので、そこを読んでください。規格については次の見出しで詳しく扱います。
3. ルーターの置き場所を変える
無線を使わざるを得ない人は、この設定で変わります。
ルーターを床に置いたり、テレビの裏や棚の中に入れたりしていませんか。
電波は金属と水に弱いので、遮るものが減るだけで安定します。置き場所を変えるだけなら費用はかかりません。
4. 同時につないでいる機器を減らす
最後は、家の中の状況を確かめてください。
家族が同時に動画を見ていたり、PCがゲームの裏で更新データを落としていたりすると、そのぶんゲームの通信が押しのけられます。
ゲームを起動する前に、更新やダウンロードが動いていないかを見る癖を付けてください。
ゲーミング回線のLANケーブルはカテゴリ6Aで足りる
家庭で使うなら、カテゴリ6A(CAT6A)を選べば足ります。
それ以上の規格を買っても、家庭では活かしきれないからです。
カテゴリごとの対応速度
ケーブルの規格は、対応できる速度と周波数で分かれています。
| 規格 | 対応速度 | 家庭での位置づけ |
|---|---|---|
| CAT5e | 1Gbps | 今の回線だと足りないことがあります |
| CAT6 | 1Gbps | 1ギガの契約なら十分です |
| CAT6A | 10Gbps | 迷ったらこの規格を選べば間違いありません |
| CAT7・CAT8 | 10Gbps以上 | 業務用の規格で、家庭では活かしきれません |
CAT7以上は本来アース処理を前提にした規格で、家庭のルーターにつなぐ場面では設計どおりに働きません。
硬くて取り回しにくい製品も目立ちます。
買い替えの判断
すでに使っているケーブルがある人は、印字を見てから決めてください。
POINT 買い替えるかどうかの目安
- ケーブルの側面の印字を読む(CAT5e / CAT6 / CAT6A のいずれか)
- CAT5eなら買い替えを検討する。1ギガ契約でも古い個体は劣化していることがあります
- CAT6以上なら、そのまま使って問題ありません
- 印字が読めないほど古いものは、この機会に替えてしまうほうが早いです
千円前後で買える部品なので、原因の切り分けとしても安く済みます。
ゲーミング回線に合うルーターの選ぶ基準
ルーターで見るのは、有線ポートの速度と無線の世代の2つだけです。
どちらも仕様表に書かれているので、店頭でも確かめられます。
有線ポートの速度を見る
見落とされがちなのがこちらです。
ルーター側のLANポートが100Mbpsまでしか対応していない機種があります。この場合、どれだけ速い回線を契約しても、ルーターで頭打ちになります。
仕様表の「有線LANポート」の欄に、1000Mbpsまたは1Gbpsと書かれているかを確かめてください。
無線はWi-Fi 6以降を選ぶ
無線を使うなら、Wi-Fi 6(11ax)以降を選んでください。
Wi-Fi 6(11ax)以降は、同時につながる機器が多いときの効率が上がっています。家族の機器が10台20台とつながる家では、この違いが体感に出ます。
ただし有線にできるなら、そちらを優先してください。
買い替えの前に置き場所を試す
順番だけ間違えないでください。
ルーターは1万円を超える買い物になります。
置き場所を変えるだけで直ることがあるので、先に試すほうが無駄になりません。ゲーミングPCと一緒に何を用意すればいいかは、ゲーミングPCに必要なもの7つにまとめました。
それでも直らないなら回線そのものを疑う
4つ試して変わらなかった人だけ、先へ進んでください。
回線を疑うべき条件は、はっきりしています。
マンションの配線方式を確かめる
集合住宅でいちばん多い原因がこれです。
建物まで光ファイバーが来ていても、各部屋までの配線が電話線を使う方式だと、そこで速度が頭打ちになります。
契約しているプランの名前ではなく、建物内の配線がどうなっているかで決まります。
管理会社か回線事業者に問い合わせれば分かるので、まずそこを当たってください。
時間帯で大きく変わるかを見る
もう1つ、確かめてほしいことがあります。
夜だけ遅くなるなら、混雑が原因です。
同じ回線を使う人が増える時間に落ちるという、設備側の問題になります。昼と夜で測って差が大きいなら、乗り換える価値ありです。
逆に一日中同じなら、家の中に原因が残っている可能性のほうが高くなります。
乗り換えは最後の手段にする
費用と手間を考えれば、乗り換えは最後で構いません。
工事には日数がかかり、契約には期間の縛りが付くこともあります。
ここまでの4つを試してからでも遅くありません。それでも乗り換えると決めた人は、ゲーミング回線のおすすめ3選に公式が公表している仕様だけで3社を並べました。
特化サービスが向く人の条件もそこで判定できます。
ゲーミング回線が途中で切れるときに見る場所
遅いのではなく、ぷつっと落ちる人は別の場所を疑ってください。
原因が別なので、対処も変わります。
無線なら電波の乗り換えを疑う
まず多いのがこれです。
家の中に2.4GHzと5GHzの電波が飛んでいると、機器が勝手に良いほうへ移ろうとします。
その切り替わりの瞬間に、通信が一度途切れる形です。ゲーム中だけでも5GHz側に固定すると起きなくなります。
有線なら挿し口と機器の熱を確かめる
有線で落ちる場合は、物理的な原因がほとんどです。
POINT 有線で切れるときに見る3つ
- LANケーブルの端子:爪が折れていると、わずかな振動で抜けかけます
- ルーターの発熱:夏場に閉じた棚へ入れていると、熱で動作が不安定になります
- ハブを挟んでいないか:安価なハブは電源が弱く、切断の原因になりやすくなります
爪の折れたケーブルは見た目で分かるので、まず抜き挿ししてから確かめてください。
決まった時間に落ちるなら機器の再起動を疑う
毎日ほぼ同じ時刻に落ちるなら、原因は別にあります。
ルーターやモデムには、自動で再起動する設定が入っている機種があります。
その時刻がゲームの時間と重なっていないかを、設定画面で確かめてください。時刻をずらせば、それだけで解決します。
工事不要でゲーミング回線を用意する方法
工事ができない事情がある人は、工事なしで使える方法を検討してください。
賃貸で穴を開けられない場合や、すぐ使いたい場合の選択肢になります。
コンセントに挿すだけの回線がある
いわゆるホームルーターと呼ばれる機器です。
携帯電話の電波を受けて家の中に配るので、工事も配線も要らず、届いた日から使えます。
引っ越しが多い人にとっては、解約や移設の手間が少ない点も利点になります。
ただしPingは光回線に届かない
電波を経由するぶん、Pingは光回線に届きません。
無線の区間があるぶん、光ファイバーで直接つなぐ場合よりPingは大きくなります。
さらに時間帯や基地局の混み具合でも揺れやすい方式です。
撃ち合いの精度を詰めたい人には、条件として不利になります。
POINT 工事不要の回線が向く人・向かない人
- 向く人:工事の許可が下りない、すぐ使いたい、引っ越しの予定がある、対戦の精度より遊べることを優先する
- 向かない人:FPSでランクを上げたい、Pingの揺れが気になる、家族と同時に使う時間が長い
腰を据えて対戦をやるなら、多少待ってでも光回線を引くほうが結果的に満足できます。
まとめ:ゲーミング回線は速度の数字で選ばない
要点を整理しておきます。
POINT この記事のまとめ
- メーカーは必要な通信速度を公表していません。数字を追う意味は小さくなります
- 対戦ゲームで差が出るのはPing(応答の速さ)と、その安定です
- まず有線でつなぐ。4つのなかでいちばん差が出ます
- LANケーブルはカテゴリ6Aで足ります。上の規格ほど良いわけではありません
- 乗り換えは4つ試したあとで構いません
「ゲーミング回線」という言葉を聞くと、専用の速い回線を契約しないといけない気がしてきます。
実際に差が出るのは、手元のケーブル1本だったりします。工事の申し込みをする前に、今日できる4つから試してみてください。
まずは机の裏をのぞいて、ケーブルが挿さっているか確かめてくださいね。そこから始めましょう。
RYOTA